イランシーへ行くのは大冒険でした‥。
フランスのイベントガイドを見てイランシー村で年に1度のワイン祭りがあると知り、ネットで調べてもイランシーの情報はほぼ皆無。
一番近くてパリからTERで迎える場所がオーセールだったので、取り敢えずオーセールまでのチケットをネットで購入しました。
チケットを購入してからイランシーについて良く調べ始めたのですが、実はオーセールから電車やバスで行けると簡単に考えていたのは間違いでした‥イランシーはかなり小さな村だということもその時知りました。
どんなに調べてもイランシーまでの公共交通機関が見つからず、フランス人の同僚や友人数人に聞いても、イランシーの名前すら知りませんでした‥
ワインのAOCもあって有名な村だよ!というと、フランスにいくつ村があるのか知ってる?と逆に聞かれてしまいました。
不安になりながらも何とかして村の様子をみようとグーグルストリートビューを使おうとすると、村に入る前で止まっていました。
もう仕方がないので、とにかく土曜日にオーセール観光をしながら情報を集め、タクシーが高ければヒッチハイクか、最終的にはイランシーは諦めようということになりました。
ところがオーセールの観光案内所には大きなポスターもあり、すぐこのイベントに行くの?と声を掛けてくださったり、レストランでも明日はイランシー?と聞かれたりとオーセールの人はみんな知っていて一安心。
観光案内所で聞くと、タクシーは通常運転ではなく、このイベントのためイランシーまで特別料金になっていると言われましたが、片道20ユーロとのこと。
予想より安かったので迷わず予約してもらいました。
お祭りは朝8時半スタートだったので、8時にホテル前で、英語ができるタクシードライバーさんを予約。
宿泊したibisホテルは9ユーロで朝食が食べられるのでそちらを利用しました。
クロワッサン、パン・オ・ショコラ、トースト等各種パンの他にパンケーキやヨーグルト、フルーツ、ゆで卵、ジュースやコーヒー&紅茶もあったので満足でした。
イランシーの村にはレストランが1軒だけで、カフェもないとのことだったので、イベントの様子もわからないためお腹が空かないよう朝ごはんはいっぱい食べておきました。
8時予約のタクシーの運転手さんは、10分前にロビーに行くともう中で待っていて、声を掛けてくれました。
そして英語ができるからその人を予約したのに、なぜかほぼフランス語で話され、フランス語を勉強するよう諭されました。
フランス語はアプリ等で少しずつ勉強してるのですが、色々な方とコミュニケーションが取れず、いつも申し訳なく思います。
小雨の中、タクシーに乗って出発。
オーセールを出るとすぐ、草原のような休耕地のような何も無い景色が広がります。
道路も空いていて、本当に人がいる場所に行けるのかドキドキ。
意外に早く20分程でイベントの駐車場に着きました。
このお祭りのため村の中は全て通行止めになっているので、タクシーでは村の外にある特設駐車場までしか行けません。
駐車場は何もない丘の上に鉄板を敷いて臨時に作ったようです。
運転手さんには、14時にまたこの駐車場に迎えに来てもらう約束をして別れました。
ここからイランシーまでは2キロとの看板が出てました。
テントの下には周辺の村々のサン・ヴァンサン像が見えました。
8時半のパレード直前に着いたので、もう村人達がお神輿のように像を担いでスタンバイしています。
持ち物検査と金属探知機でチェックを受け、テントの中へ。
テントに入るとすぐにパレードが始まりました。
ブドウ畑の中をマーチバンドを先頭にパレードが進んで行きます。
動画の最後、奥の方に見える小さな集落がイランシー村です。
観光客はパレードの両側を付いていき写真やビデオを撮っていました。
小雨で寒い中ですが、村によって異なる形のサン・ヴァンサン像を見ながら歩くのは楽しく、2キロの道のりもあっという間でした。
村の入り口に墓地があり、パレードの村人達は墓地内へ、観光客は墓地の外を囲みました。
そこで、祭りの挨拶のようなものが行われました。
フランス語がわからないことが本当に悔やまれます。
下の写真をよく見ると奥の壁の向こうからは馬も覗いています。
柵なども見当たらないので放し飼いされているようです。
村の入り口にはAOCとなっているワインの作り手達の顔写真がありました。
デパートにたくさん並ぶワインも、一つ一つはこんな小さな村で10数組の家族によって作られているんだなあとしみじみ。
村の地図もありました。
この小さい集落の周りに、それよりもずっと大きなブドウ畑が広がっています。
また、入り口ではチェリーの赤ワイン漬けを配っていました。
甘くて芳香なワインがぎゅっと染みたジューシーなチェリーは、とても美味しかったです。
小雨が降る中外で準備されていたので雨水も大分入っていますが、細かいことには目をつぶらないとフランスでは生きて行けません。
この後、受付のテントでチケットを購入します。
1人15ユーロで、村の名前が入ったワイングラスと、グラスを首から下げられるホルダーが付いてきます。
ホルダーの裏側にはチケットを入れるポケットも付いてます。
チケットはワインの年代が書いてあるものが7枚あり、それぞれ1杯ずつ試飲できます。
それとは別売りで食事用のチケットが10枚10ユーロでした。
私たちは2人で20ユーロ分購入しました。
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ワイン試飲チケットと、ピンク色の食事用チケット |
ワイン試飲の前に、教会へ入るパレードの後を追って見学することに。
教会の外には大型スクリーンも設置され、中の様子が見えるようになっています。
サン・ヴァンサン像は教会の脇にある台に置かれました。
教会の中には観光客用に木のベンチも置かれ、人でいっぱいでした。
プログラムと賛美歌の歌詞も書かれたプリントが席に置いてありましたが、フランス語が全然わからず‥でもフランス語での賛美歌もとても素敵でした。
恐らくワインの神様への、感謝のお祈りなどをしていたのかと思います。
教会を出た後はついに試飲へ。
村の農家の倉庫や軒先きがぶどうの造花や人形などで装飾され、そこにたくさんのワインが並べられ試飲スポットとなっています。
それぞれのスポットで年代が決まっており、同じ年代でも3〜4種のワインが置いてあります。
こちらでは2012年なので、2012のチケットを渡し、自分のグラスに好きなワインを選び注いでもらいます。
私たちは別のワインを選び、それぞれの年代のものを2種ずつ試飲してまわりました。
寒いので注がれた赤ワインも結構冷えてました‥。
手のひらで少し温度を上げるようにして飲むように言われ、グラスを包みますが手も結構冷えて辛い‥
食事スポットも場所によって色々なメニューがあり、バーガー、ハム、ソーセージの他にもフォアグラやエスカルゴを売っているところもありました。
コーヒーや紅茶のスポットもありました。
ずっと小雨が降っており、屋内に入れるような場所もないので大分身体が冷えたので、温かい飲み物は貴重でした。
私たちはランチにウフ・アン・ムーレット/Oeuf en meurette 4ユーロとブータン・ピュレ/Boudin Puree 5ユーロを買いました。
ウフ・アン・ムーレットはポーチドエッグの赤ワインソース、ブータン・ピュレは豚の血のソーセージとポテトのピューレです。
どちらも赤ワインにぴったり!冷えた体を温めてくれました。
この後フォアグラのサンドイッチ6ユーロも買いましたが写真を撮り忘れました‥。
試飲スポットを回る間には、村の人がデコレーションした景色も楽しめます。
可愛い案山子がたくさんありました。
中庭でのお食事風景や‥
ぶどうを絞っている案山子もありました。
この手動のぶどうを絞る道具は実際にワイン作りに使用しているものなのか、村中でたくさん見かけました。
カリフォルニアで良くワイナリー巡りをしましたが、大型の機械を使うところが多く、ワイン工場のような施設しか見たことがなかったので、小さなワイン農家を見て回るのは新鮮でした。
石造りの家々が並ぶ小さな集落を歩くのも初めて。
ほろ酔いで夢の中にいるような気分です。
また、何箇所か仮説ステージも作られ、バンド演奏等のイベントもありました。
トイレは村中に仮設トイレが何箇所も作られていました。
パリの街中を歩くよりもトイレは多く、とても便利!
でも手洗いの水は出なかったりするので、消毒ジェルを持っていて良かったです。
小さい村ですが歩き回って疲れ、お菓子とお茶で休憩しました。
13時になってもまだ試飲が半分も終わってなかったので、タクシーの運転手さんに電話して、お迎えを15時に変更してもらいました。
お茶1ユーロとカフェ・グルマン/Cafe gourmand 4ユーロで、20ユーロ分のフードチケットはぴったり消費できました。
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カフェ・グルマンのチョコレートマカロン、フィナンシェ、ドーナツ |
午後からどんどん混んできて、スポットによっては試飲に長い列が。
恐らく、パリを朝出て車で来る人が多いようです。
車があればパリから数時間、前泊するほどの距離ではないので日帰りで来られます。
無事7杯の試飲を終え、帰路へ。
村から駐車場までは可愛い機関車型のシャトルもありますが、長蛇の列だったので、タクシー運転手さんを待たせないために2キロ歩いて戻ることにしました。
朝のお迎えの時と同じく、運転手さんは早めに来てくださってました。
この旅で出会った人たちは、みんな笑顔でフレンドリーな素敵な方ばかりでした。
車で数時間の距離でも、パリの雰囲気とは全然違います。
オーセールへ戻り、街のパン屋さんでディナーを買い、5時半頃の電車でパリへ。
たどり着けるか不安だったイランシーでたっぷりとお祭りを満喫し、大満足の旅となりました!